コロナウイルス拡大、薬機法改定を受けて、電子薬歴の導入や変更を考えている方もいらっしゃるかと思います。
電子薬歴は紙薬歴に比べると、入力を素早くできたり、保存場所を取らなかったり、必要な情報をすぐに検索出来たりと便利です。
しかし、いざ導入となると、種類が多くてどの電子薬歴がいいのか迷いますよね。
そもそも電子薬歴にはオンプレ型(オンプレミス型)とクラウド型の2種類があります。
オンプレ型(オンプレミス型)
薬局内にサーバーを設置し、そこに患者情報や薬歴の情報を保存します。
例:Recepty NEXT、ネグジット総研など
オンプレ型のメリット
コストが安い
一般的にレセコン+薬歴になってしまうクラウド型に比べ、オンプレ型はコストが安いです。
ただ、クラウド型はレセコンではない端末(タブレットなど)から薬歴記入が出来るので、レセコン台数が多い場合、オンプレ型の方が高くつく可能性もあります。
オフラインでも稼働
急な電波障害等、インターネット環境がない状況でも薬歴の記入が行えます。
クラウド型の薬歴は開くこと自体ができなくなってしまいます。
スムーズな処方変更
処方の変更があった際に、クラウド型電子薬歴の場合、処方を送りなおさなければいけません。
オンプレ型なら、急な処方の変更にもスムーズに対応できます。
オンプレ型デメリット
場所の確保が必要
人数の多い薬局さんや、店舗が狭い薬局さんだとレセコンの場所の確保に困るかもしれません。
クラウド型の場合、iPadなどの端末で代用できるため、最小限のスペースで薬歴記入ができます。
災害時のデータ管理に不安
水害や雷の影響で、ハードが故障してしまうと、中のデータが破損・紛失してしまう可能性があります。
サーバー等の定期的な更新が必要
通常、約5年ごとにリース更新やサーバー更新に追加で費用が掛かります。
またデータが溜まると端末の動きが重くなる可能性があります。
クラウド型
薬局と離れたデータセンターに患者情報や薬歴の情報を保存します。
例:メディクス、ソラミチ、Musubiなど
クラウド型メリット
薬局外から薬歴を確認
在宅先、施設、本部から、店舗や患者さんの情報・薬歴を確認することができます。
店舗情報の一元管理や、系列店の患者情報も引き継ぐことができます。
データのバックアップ
水害や雷の影響で、ハードが故障しても、クラウド上のデータが破損・紛失してしまうことはありません。
操作性の安定
端末に情報がたまらないので、データ蓄積によって動きが重くなることもありません。
場所の確保は最低限
レセコン以外からも薬歴の記入が出来るため、スペースが取れない薬局さんでも一人一台体制が低コストで実現できます。
クラウド型のデメリット
導入費用
オンプレ型に比べると導入費用が高くなる可能性があります。
レセコンの台数によってはクラウド型の方が安くなることもあるので、合わせて検討しましょう。
不具合で動かない可能性がある
データセンターや通信環境の不具合で薬歴自体が動かなくなる可能性があります。
処方変更に手間がかかる
処方の変更があった際に、クラウド型電子薬歴の場合、処方を送りなおさなければいけません。
ハイブリット型電子薬歴の台頭
最近はオンプレ型の電子薬歴の中にも、クラウド上に情報共有する、いわゆるハイブリッド型と呼ばれるものもあります。
ハイブリット型ならオフラインで動くオンプレ型と、災害時もデータが安心なクラウド型のいいとこ取りができます。
デメリットとしては、クラウド利用料金として追加費用が掛かる点です。
電子薬歴を検討する際は、レセコンの台数やオプションの種類も含めて検討していきたいところです。