調剤薬局がなくなる?生き残りをかけておさえる考え方とは?

最近「調剤薬局・薬剤師が必要なくなるかもしれない」「私の働いている薬局は大丈夫なのか」という話を聞く機会も多くなってきました。
感染症拡大の影響も相まって、今後の調剤薬局の行く末に、不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2020年内には、世界の大企業Amazonが処方箋医薬品の注文を受け付ける「Amazon薬局」のサービスをアメリカで開始しましたね。
他にも、「AI技術の発達」「薬剤師数の増加」「薬機法改正」など調剤薬局を取り巻く環境は日々変化しています。

「将来私の仕事はないかもしれない」という漠然とした不安と向き合い、且つ、今後の時代の変化にどのように対応していけば良いのか。
今回は、そこを考察していきます。

調剤薬局・薬剤師が必要なくなると言われる背景

まず、結論から言うと、調剤薬局・薬剤師が必要でなくなることはないと考えられます。

高度な薬学の専門性から総合的に患者さんの健康を考えることは機械で代替するのは難しいでしょう。
また、患者さんの中には、薬局で薬をもらうついでに誰かと話したいという人も少なくありません。

ただ、時代の流れとして、調剤薬局・薬剤師の数が少なる可能性は十分に考えられます。

調剤薬局・薬剤師が減少すると言われる背景には大きく分けて3つあります。

薬剤師数の増加

薬剤師を目指す人の数は年々増加しています。
全国に約6万件の薬局に対し、6年制移行前の2005年の受験者数が11,590人だったのに対して、2020年の受験者数は14,311人でした。

また、調査によると、「親が子どもに将来なってほしい職業」の「女の子」編の第2位が「薬剤師」なんだそうです。
親御さんの後押しもあるとすれば、薬剤師人口の増加傾向は、一段と加速しそうですよね。

「親が子どもに将来なってほしい職業」の「女の子」編の第2位が「薬剤師」

この状況が続くことで「薬剤師の供給過多」になる可能性があります。
そうなれば、薬局の数に対して、そこまで必要なくなる人員も出てきてしまうのではないかと考えられています。

単純作業を機械が代替

薬剤師が今までしていた仕事が、だんだんと、「機械が代替してきているなぁ」と感じている方も多いかと思います。

昔は薬を一つ一つ手作業で包んで患者さんに渡していました。
しかし、現在はほとんどの薬局で分包機が導入されているかと思います。

他にも、処方箋の取り込みがスキャナーできるようになったり、薬歴が電子薬歴になり薬歴作成の時間が削減できるようになったり。
薬局を取り巻く環境は、現在進行形で大きく変化していると言ってよいでしょう。

そんな中で薬剤師に求められるのは、患者さんに合わせた指導や薬学的知見からのコミュニケーションなど薬の専門家としての知識や情報です。

医療機関から処方されたものを機械的に渡しているだけでは薬剤師としてのキャリアが先細りになる時代は、確実に近づいていると言えます。

薬局の機能・役割の変化

2020年の薬機法改正を受けてオンライン服薬指導の解禁、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の機能別薬局の認定制度導入など、薬局を取り巻く環境は日々変化しています。

機能別薬局については実例がまだ少ないため、認定を受けた薬局と受けていない薬局でどのような違いがあるかわかりませんが、国が進めている以上、今後患者数が減少したりする可能性は考えられます。

今まで薬局の売上は移動手段や通信手段がなく、門前のクリニックや立地が重視されてきました。
しかし、そうしたいわゆるDX化が進み、ITを基軸とした新しいインフラも整えられていくことで、薬学的な専門性や訪問への対応、オンライン化への対応が薬局を選ぶ基準になるかもしれません。

今後調剤薬局として生き残っていくために

このように、求められている役割が多様化する調剤薬局の中で、薬局として、薬剤師として進化していく必要があるかもしれません。
制度から見て、どのような薬局・薬剤師が求められているか考えていきましょう。

地域密着型、高度医学管理型としての機能

先ほども触れた「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」のことですね。
薬機法改正で新たに追加された機能別薬局です。

ただ薬をもらうと場所ではなく、地域に密着した薬局や専門性を持つ薬局など、強みや独自性のある薬局が、今、求められています。

時代的な背景でも、最近は「梅干しサワー専門店」「チーズ専門店」「燻製専門店」など飲食店でも専門性を持ったお店が数多く出てきています。

薬局業界も「この症状はこの薬局がいい」など患者さんの症状によって薬局を選ぶ時代が来るかもしれません。

患者さんを総合的にサポート、健康サポート薬局

薬局は、最終的に患者さんの健康のために薬を渡しています。
だからこそ、薬剤師が薬以外のところでも総合的に患者さんの健康に対してサポートしていくことが求められています。

ただ、一方で、テレビやインターネット上には間違った情報も多数存在します。
そうした間違った知識を患者さんに提供しないように注意していきましょう。

患者さんが健康のことについて手軽に相談できる薬局は、今後も必ず求め続けられるものでしょう。

患者さんの場所を選ばない薬局へ

コロナウイルス拡大の影響も含め、訪問調剤、24時間対応、オンライン服薬指導など場所を選ばない薬局への変化が求められてきています。

特に若い患者さんは、スマートフォン一つで本を読んだり、映画を見たり、音楽ライブをみたりすることに慣れています。
まだ一般的な認知度は低いですが、薬局に行かなくても薬がもらえることが普通になれば、継続的に薬をもらうような若い患者さんはものすごい有用性を感じるでしょう。

そのような需要は、逆に薬剤師側にとっては、外で薬歴を書く機会が増えたり、業務時間が拡大したりすることも懸念されます。
その場合、Excelや紙で記入していたのでは患者さんが増えた際に仕事が回らないという事態も起きかねません。

在宅やオンライン服薬指導が増えてきた場合は、一度薬局の外で薬歴記入ができるクラウド型の電子薬歴の検討も考えていきましょう。

10年後も生き残る薬局へ

現在全国に約60,000店の調剤薬局がありますが、大手の買収が増え、薬局業界の再編・統合もかなり進んでいます。
実際に働いている店舗が他の会社になったという人も少なくないでしょう。

社会も動いています。
ドラッグストアの需要が増していたり、Amazon薬局がサービス化されたりと、目まぐるしく状況は変わっています。

そのような流れですから、競争力のない薬局はこの先淘汰されていくことになると考えられます。
新しい時代の要望や、新しいお客さまのニーズに適応できる調剤薬局こそが、今後、生き残っていくことになるでしょう。

コロナウイルス拡大を受けて補助金などが出ている今だからこそ、10年後も生き残ることを見据えて、患者さんの健康をサポートする薬局として進歩するべきタイミングなのかもしれません。

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