世界的な感染症被害の拡大を受けて、リモートワークや時短勤務を実施する企業が増えてきました。
しかし、薬局で働く方はエッセンシャルワーカーであり、ほとんどが現場仕事です。
リモートワークをしたくてもできない現状がありますよね。
そんな中、最近ではオンライン薬局と呼ばれるものが出てきています。
こうした取り組みが進めば薬剤師さんの働き方も柔軟になるかもしれません。
今回はそんなオンライン薬局と薬剤師さんの働き方について解説します。
オンライン薬局とは
オンライン薬局とはインターネット上で医薬品が購入できるサービスです。
仕事や子育て、家事で時間が取れない患者さんが病院や薬局に行かずに薬をもらえるので、今後更に広まっていくと考えられます。
実際に薬局経営をしながらインターネット上で薬の販売を行っている薬局もあります。
オンライン薬局で買える医薬品の種類
オンライン薬局では「一般用医薬品」と言われる「市販薬」のみが購入可能です。
よく「OTC薬」と呼ばれているものですね。
つまり、現状では、オンライン薬局で購入できるのは、「ドラッグストアなどにある薬」ということになります。
昨今、アメリカでは「Amazon薬局」も開始され、処方薬を扱うオンライン薬局も開始されたようです。
アメリカと日本では医療保険のあり方も違うため、国民皆保険の日本では、アメリカとまったく同じ形でオンライン薬局が実現するというのは考えにくいです。
しかし最近の医療費削減の動きを見ていると、オンライン薬局が日本に浸透するのもそう遠くはないかもしれません。
オンライン薬局のメリット
オンライン薬局のメリットとしては患者さんの負担が少なくなるという点です。
忙しかったり、郊外で近くに薬局がないといった患者さんには大きなメリットがあります。
最近ではある地域限定でドローンで荷物の配達をする試みもあるので、将来的には全ての地域に、迅速に薬が配達される環境が作られると考えられます。
オンライン薬局のデメリット
デメリットとしては、まず、薬剤師さんの対面販売が出来ないので、ネット環境が必要な点が挙げられます。
また、法律で定める条件を満たしていないのに、あたかも薬局かのようなサイトを作る悪質な業者が出てくる可能性もあります。
購入者がインターネットに慣れていなかったりすると、薬局なのか悪質な業者なのかわからなかったりする、という場面も生まれそうです。
オンラインでの医薬品の販売を考えている薬局は、薬局として信頼に足るサイトを構築できるよう、注意しましょう。
オンライン薬局がもたらす影響
アメリカで「Amazon薬局」も開始され、処方薬を配送するサービスも始まりました。
Amazonが書籍を扱う日本語サイトをオープンしてから、日本人の生活も大きく変わりましたよね。
今や本屋さんを見つけるものも大変な地域もあります。
薬局業界もこのAmazon薬局に影響を受け、淘汰される薬局が出てくることでしょう。
実際、Amazon薬局の情報が解禁された時、アメリカのドラッグストアの株価は下がりました。
将来、Amazon薬局のような処方薬を扱うオンライン薬局が日本に進出することで、既存の薬局も、薬局としてのあり方や働き方が大きく変わるかもしれません。
薬剤師さんの働き方
では、オンライン薬局が更に広まると、薬剤師さんにはどのような影響があるのでしょうか。
オンライン薬局が薬剤師さんの働き方に与える影響は大きく分けて3つあると考えられます。
オンライン服薬指導等のツールの積極的活用
まずオンライン薬局が広まることで、今なかなか定着していないオンライン服薬指導等のツールも更に活用することが求められるでしょう。
患者さんも「薬局にいかなくても薬がもらえる」という意識が根付けば、薬局の努力次第では門前の病院やクリニックに頼らずとも処方箋をもらえるようになるかもしれません。
柔軟な働き方
今まで、産休や結婚で仕事を休まなければならなかった薬剤師さんもオンラインで仕事を行うことが可能になるかもしれません。
また現在は薬局の外でも薬歴が書ける電子薬歴も多数出てきているので、薬歴は家に持ち帰って書くなどある程度時間に縛られない働き方が実現すると考えられます。
求められる付加価値
薬局は「薬をもらう場所」という認識がある患者さんも多いですが、
「ここまでサポートしてくれるのか!」
「こんなことも教えてくれるんだ」
と感動を与えられれば、Amazon薬局のような処方薬を扱うオンライン薬局の波にも対応できるでしょう。
かかりつけの薬局としての実績を挙げたり、専門性をアピールしたり、「この薬局だから行く、サービスを受ける」と患者さんが思える体験が必要です。
つまるところ、患者さんに寄り添った薬局であることが一番、ということになりそうですね。
薬局の価値を改めて考える
今回はオンライン薬局の影響と薬剤師さんの働き方について解説しました。
薬局にも専門性が求められたり、オンライン服薬指導が解禁されたり、薬局を取り囲む環境は大きく変化しています。
だからこそ、今一度、薬局として、患者さんに与えられる価値を考え、患者さんに寄り添った医療行為を心がけていきたいものです。
その第一歩として医療のオンライン化に対応できるだけの設備の準備をしていきましょう。
薬局の外から薬歴が書ける電子薬歴や、オンライン服薬指導のツールなど、現在は様々なツールが発表されています。
最新の情報に触れておくという意味でも、当サイト含め、様々な所から情報収集をしてみてはいかがでしょうか。