レセコンと電子薬歴はセット?分離型?それぞれのメリット・デメリット

調剤薬局で働く皆さんは、普段使っている電子薬歴がどこのメーカーのものか知っていますか。

有名なところでいけば、EMシステムズの「Recepty NEXT」やPHCの「Pharnes」シリーズあたりでしょうか。
日立の「Pharma-SEED」を使っている薬局も多いかと思います。

上記の電子薬歴はいわゆる「一体型」「オンプレミス型」と呼ばれるものです。
当然、レセコンと電子薬歴を同じメーカーでそろえて使っていますよね。

しかし、最近は、薬歴専門メーカーが出す「分離型」「クラウド型」の電子薬歴が多数出てきています。
実際にレセコンと電子薬歴を別メーカーにしているという薬局の存在を、皆さんも耳にされているのではないでしょうか。

単純に考えると、同じメーカーでそろえた方がサポートも受けやすいし費用も安く済むと思いますよね。
ですが、なぜ、レセコンと電子薬歴を別々のメーカーにするのでしょう。

今回はレセコンと電子薬歴を別のメーカーにするメリット・デメリットを解説します。

一体型(オンプレミス型)メーカーの特徴

一体型メーカーでは、電子薬歴よりレセコンが主な製品です。
そのため、基本的にレセコンと電子薬歴が連動しており、後会計などの急な処方変更にも迅速に対応できます。

一方で、電子薬歴はあくまでもオプションとして開発された歴史をもつものが多くなっています。
誤解を恐れず言うならば、電子薬歴としての機能としては物足りなくなりがちです。

一体型メーカー
Recepty NEXT、Pharnes、Pharma-SEED、Melhisなど

分離型メーカーの特徴

分離型メーカーは電子薬歴を専門で作っているため機能が充実しています。
また、薬局の外で使えたり、iPadなどのタブレット端末でも使えるものが多いため、薬歴の記入が柔軟に行えることが特徴です。

しかし、当然ながらレセコンの機能はありません。
レセコンはレセコンで設備として整える必要があります。

分離型メーカー
メディクス、Musubi、GooCo、solamichiなど

分離型にするメリット

前述のとおり、レセコンと薬歴をバラバラで扱うのは非効率な気がします。
ところが、最近では、「分離型」「クラウド型」の電子薬歴がシェアを伸ばしています。
それはなぜなのでしょうか。

機能が豊富

レセコンが決まったら、そのままレセコンメーカーの電子薬歴を導入するのが一番手っ取り早いですよね。
価格も安く済みますし、何かあった時もレセコンの担当者に聞けばいいので、対応がスムーズです。

そのため、逆に、薬歴専門メーカーは
「この電子薬歴はすごい」
「どうしても便利な分離型の電子薬歴にしたい」
と思ってもらうために、非常に細かいところまで工夫を凝らしています。

この「工夫」が、調剤薬局の現場で認められている、と言えるでしょう。
薬歴専門の製品では、見た目や操作性だけでなく、薬剤師さんが「こんな機能があったらいいな」という思いを機能として実現させています
こうすることで、忙しい薬局業務を薬剤師の見解をもとにサポートし、それが次の現場、次の薬局へつながっているわけです。

強固なセキュリティ

「クラウド型」の電子薬歴の特徴ですが、薬歴のデータを外部のデータセンターに保存することで、情報の紛失や漏洩のリスクを回避します。

「一体型」と呼ばれるものは、薬局内のサーバーにデータを保存します。
そのため、機械の故障や災害時に、データが紛失する恐れがあります。
実際に、最近頻発している水害や、豪雨に伴う落雷で、薬歴のデータが見られなくなった、破損した、という薬局もあります。

そうは言うものの、「目の届かない所にデータを保存するのは不安」という方もいるかと思います。
であれば、こんな考え方はいかがでしょう。

お金は銀行に預けていますよね。
お金の管理をするプロが銀行なら、データはデータを管理するプロ、すなわち、クラウド型薬歴メーカーに保護してもらう、というものです。
自分でリスクを丸抱えしない、というのも、現代の情報管理の一つの在り方です。

薬歴記入端末の柔軟性

レセコンと電子薬歴がセットの一体型は、パソコンで薬局内のスペースを取ってしまうため人が増えた時にも増設しにくい場合があります。
中には薬歴の記入のための待ち時間が恒常的に発生している、という薬局もあるのではないでしょうか。

分離型のものはタブレットで薬歴が記入できるので、スペースの確保が出来ない薬局や、訪問などで移動が多い薬局でも柔軟に対応できます。
人が増えた時も簡単に薬歴端末を増設できるので急な増員にも迅速に体制を整えることができます。
また、最近は、設置台数が何台であっても月額料金がかわらない電子薬歴も登場しています。

分離型にするデメリット

もちろん、「分離型」「クラウド型」の電子薬歴を選ぶデメリットも存在します。
そこもおさえていきましょう。

価格が高い

一般的にレセコンと電子薬歴がセットの一体型の方が、分離型と比較すると安い傾向にあります。
しかし、レセコンの端末台数が多い場合、レセコンの更新費用(基本的に5年ごと)等を含めて考えると、分離型の方が安く済むこともあります。
レセコンの更新が近くなってきたら、今後のランニングコストを一度シミュレーションしてみても良いでしょう。

トラブルの要因も分離する

レセコンや電子薬歴の不具合をメーカーに確認したいときに、別々のメーカーを使っている場合、どちらに聞くべきか迷う可能性があります。
基本的に電子薬歴はレセコンが発する情報を基にしているので、「データがおかしい」などの問題はレセコン側での操作が必要になります。

しかし、要因がすぐわかるとは限りません。
最悪二つのメーカーにたらいまわしにされることも考えられます。

電子薬歴を選定するときは、サポートがしっかりしているか確認してみましょう。
一般に実績や製品の稼働年数のある電子薬歴の方が、その分、多くのレセコンとも接しているので、ノウハウを貯めている傾向があります。

レセコンも電子薬歴も使いやすいものを選ぼう

これまではレセコンと電子薬歴を同じメーカーにするのは当たり前でした。
レセコンと電子薬歴を別々のものにできるということを知らなかった方もいるのではないでしょうか。

しかし、薬歴専門メーカーの出現で、必ずしもレセコンと電子薬歴をセットにする必要性はなくなりました。
レセコンはレセコンで薬局にぴったりのものを、電子薬歴は電子薬歴で薬剤師が本当に使いやすいものを検討していきたいところですよね。

特に訪問が多かったり、グループ店舗間の移動が多かったりする場合、一体型だとどうしても薬歴記入に時間がかかってしまいます。
今すぐの検討でなくても、最新の機能やトレンドを知る意味でも一度「分離型」「クラウド型」と呼ばれるメーカーの説明を受けてみてもいいかもしれません。

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