電子薬歴と紙薬歴、どっちがいい?メリット・デメリットを比較!

薬局業務において、管理指導料を算定するうえで、薬歴の記入や保存方法は切っても切り離せない存在ですよね。
何に記録し、保管するのか。
これは薬局にとっても大きな問題です。

時間とともに膨大な量になる薬歴を安全に保存するために、誰でも入力でき、目で見える形で保存できる紙薬歴で薬歴を入力するのか。

それとも、タイピング等の基本的なPCスキルは必要だが、簡単入力と省スペースで保存できることが魅力の電子薬歴にするのか。

両方のメリット・デメリットを比較します。

紙薬歴

メリット

誰でも扱うことができる

紙薬歴なら、パソコンが不得意でも関係なく使用することができます。
また色をつけたり、メモを書いたりが簡単にできます。
年配の方が多い薬局も紙薬歴なら安心して扱うことができます。

見やすい

「紙薬歴の方が見やすい」という言葉はよく耳にする意見です。
また、紙薬歴ならパソコンやタブレットで見る電子薬歴に比べて目が疲れないというのも利点です。

デメリット

時間がかかる

手書きの場合、どうしても電子薬歴に比べると記入に時間がかかってしまいます。
また、インフルエンザの患者さんなど、内容がそこまで変わらない場合も一から書かなければならないのが手間となってしまいます。

保存場所が必要

紙薬歴の場合、保存する場所の確保が必要です。
特に、あまり敷地面積のない薬局だと、それだけで薬局内の動線を邪魔してしまいますよね。
また、火災や災害などで薬歴データが紛失したり、盗難による個人情報の流失などのリスクも考えられます。
外部の人が簡単に入れないセキュリティーを築くのが重要になりますが、物理的に堅牢な場所、というのは現代日本ではなかなか厳しい条件です。

電子薬歴

メリット

素早く薬歴を入力

電子薬歴は、様々なアシスト機能で、薬歴の入力時間を短縮できます。
指導文を処方薬を元に自動で作成してくれる機能や、音声入力、テンプレートの登録等の機能で薬歴の入力時間を短縮できます。
コピー&ペーストなど、パソコンの基本機能が使えるのも大きいポイントです。

保存場所を取らない

電子薬歴は、レセコンやサーバーにデータを保存するので膨大な量の薬歴データを省スペースで保存できます。
また、クラウド型であれば、サーバーが外にあるので、データを保存するレセコン端末やハードも最小限にすることができます。
クラウド型は、端末に情報が溜まらないことで、端末の動きが重くなったりしないのも良い点ですよね。

併用・禁忌等の自動チェック

電子薬歴には、併用・禁忌薬等の自動チェックの機能がある場合が多いです。
いつも見逃すまいと二重三重のチェックを入れている薬局でも、負荷の軽減ができます。

デメリット

お金がかかる

電子薬歴の導入にはどうしてもお金がかかります。
月々の保守料やパソコンの購入費、メーカーによっては5年毎の更新費などがかかる可能性があります。
また、途中の解約金なども発生するメーカーもあるので確認が必要です。

薬歴の内容に多様性がなくなる可能性がある

薬歴の効率化を重視しすぎてしまうと、テンプレートばかりで画一的な内容で作ってしまうことも多くなります。
加えて、おすすめされた指導文を機械的に使うだけで、患者さんの実態に合わせた薬歴記入がなされない可能性も出てきます。
そのような状況を招かないために、薬局や企業ごとに、運営の際のマニュアルや注意点リストを周知・共有しておく必要があります。

データ管理の注意が必要

もちろん紙薬歴でもデータの管理には、細心の注意が必要ですが目で見える分、わかりやすいかと思います。
一方で、電子薬歴の場合、ネットワークやPCに詳しくない方は、情報漏洩に特に気を付ける必要があります。
メーカーの担当者と相談しながら運用方法を決定しましょう。

今後のために

厚生労働省によると、電子薬歴の普及率は平成31年3月の時点で83.6%です。
改正薬機法の中でも、かかりつけ薬局の需要や重要性は今後も増していくと考えられます。

病院やクリニックとの連携、在宅医療患者への対応、24時間対応等、薬局に求められる役割も多様化するでしょう。
今後10年、20年と薬局を運営するのであれば電子薬歴にシフトしていくのも検討したいところです。

また、最近の電子薬歴は、複数店舗の情報をまとめて閲覧したり、店舗外から薬歴を記入できる機能もあります。
今後、店舗数を増やす予定のある薬局は、電子薬歴のメリットを存分に活かすことができるでしょう。

こうしたITツールの導入に使える補助金等も国や各都道府県から頻繁に出ています。
検討の際は、是非活用してみてください。

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