薬局も次代への生き残りをかけねばならない、『調剤薬局戦国時代』とも言える現在。
在宅に力を入れてみたり、オンライン服薬指導を実施してみたり、すでに様々な取り組みをしている薬局もあるかと思います。
逆に、「何から初めていいかわからない」「他の薬局は何をやっているんだろう」と気になっている方もいるかもしれません。
一般的な生き残り策としては、「クラウド型のシステムを導入する」「在宅を強化する」「かかりつけに注力する」ということが言われがちですが、それ以外にも面白い取り組みをしている薬局は多数あります。
今回は、5つの薬局が実際に行っている、一風変わった面白い取り組みを紹介します。
「こんなアイデアがあるのか」「こういう面白い発想もあるんだな」など、参考になれば幸いです。
温泉施設と併設の薬局
鹿児島県のはなゆの薬局では温泉施設と併設している薬局です。
代表の中山さんが温泉ソムリエの資格を開局時取得していた縁から、温泉施設の前に薬局を構えました。
集中率は44%と、半分以上の患者さんが門前以外のクリニックから。
絶大な支持がうかがえます。
SNSの発信に力を入れたり、健康教室を行ったりして、地域性の高い活動を続け、やがて広い共感を呼んだようです。
他にも、施設周りや手書きの手紙の作成など、地道な努力も欠かしていません。
代表の地道な努力と温泉と薬局、どれも「健康」というキーワードで有機的につなげているからこそ、この相乗効果が出ていると言えます。
【最優秀賞】 はなのゆ薬局の取り組みとは
今回は「第4回 みんなで選ぶ 薬局アワード ONLINE」で最優秀賞に輝いた、はなのゆ薬局(鹿児島県) 中山茜さんのプレ…
「薬剤戦師 オ―ガマン」ヒーローが大人気
福岡県を中心に調剤薬局、ドラッグストアを展開する大賀薬局。
残薬問題や薬育等の問題意識から誕生したキャラクター、「オーガマン」がとてもユニークです。
オーガマンはPVが作成され耳目を集めたり、キメセリフである「薬飲んで寝ろ」がSNSで話題になったりと、非常にポジティブ。
大賀薬局は大きなチェーングループですが、この取り組みで、各所から大きな支持を受けています。
社内では、「チャレンジ制度」と呼ばれる新規事業の立案が年に1回だれでもできる制度もあり、チャレンジ精神にあふれる会社です。
コミュニケーション向上のため、社内SNSを使って、お互いに褒めあったり認め合ったりすることを見える化する取り組みを採用したりもしています。
チームとしてのモチベーションや組織力が高い社風、それゆえの「オーガマン」誕生だったのかもしれません。
福岡を中心に展開する大賀薬局のヒーロー「薬剤戦師オーガマン」PV!
「ママ講座」で地域に密着
徳島県のサンコー調剤薬局昼間店は「ママ講座」を行っています。
管理薬剤師からの「子どもに取ってほしくない添加物」「離乳食の講演」などママたちのためになる講座を開催、気軽に相談できる「健康サポート薬局」として活動中です。
LINEでの相談や来局の事前に連絡をうけることで、患者さんにとっても気軽に相談ができ、薬局の待ち時間も削減できています。
同年代のママ同士のつながりができたり、情報交換をすることで子育てに対する不安の解消にも繋がりそうです。
薬局の内装もかわいらしく、子どもたちが楽しめる工夫がなされています。
門前の小児科にターゲットを絞ったアイデアが、人気の根幹と言えるでしょう。
【特別審査員賞】サンコー調剤薬局 昼間店の取り組みとは
今回は「第4回 みんなで選ぶ 薬局アワード ONLINE」で特別審査員賞に輝いた、サンコー調剤薬局 昼間店(徳島県) 矢…
薬局の待ち時間は本屋へ
大阪府豊中市のページ薬局は調剤薬局と本屋の機能を融合した薬局です。
絵本、小説、ビジネス書、料理本……。
ジャンルも多様で、在庫は約1,000冊。
「普段は本屋に行かない人たちに(人生を変える1ページとの)偶然の出会いを届けたい」との思いで、瀬迫さんが考案しました。
本屋があれば、処方箋がなくても街の人たちに気軽に足を運んでもらい、ついでに健康相談にも乗ることができるので、地域の医療と文化を支える空間を実現できます。
患者さんの待ち時間が問題になっている昨今、まさに逆転の発想ですね。
ページ薬局
有限会社フレンドの運営するページ薬局のwebサイトです。…
個人在宅に特化
東京のまんまる薬局は個人在宅に特化した薬局です。
95%以上の患者さんが個人在宅です。
訪問の際は薬剤師と運転免許を持ち他職種とのコミュニケーションを取る「ボランチ」と呼ばれる2人で訪問します。
薬剤師が運転免許を持っていなくても在宅が行えるシステムが出来上がっています。また在宅に特化し、訪問件数を調整することで時短勤務やリモート勤務を実現しています。
エッセンシャルワーカーとしてリモート勤務できない薬局は多いので、画期的な施策ですね。
また、LINEスタンプを作ったり、現場のアイデアを実行したり、薬局としての方針も非常に前向きです。
アイデアを実行しそれを形にする組織体制と柔軟性が魅力的です。
まんまる薬局
お客さまへ薬を渡すだけではない薬局づくりへ
このようにユニークな取り組みをしている薬局はたくさんあります。
他にもカフェと並列している薬局や、水族館の中を薬局の中から疑似体験できる薬局など、枚挙に暇がありません。
今回紹介した薬局はどれもLINEやその他SNSツールを積極的に活用しています。
高齢者の方も「孫と連絡をとるために」とLINEを使っている方も多いですよね。
この先、門前のクリニックに左右されることなく面で受ける薬局を実現するためにも、患者さんが「また来たい」「相談するならここ」と選ばれる薬局になることが求められます。
もちろん、会社の規模、立地、余剰資金の有無など各薬局によって状況は違います。
内装のリフォームや大型のシステムの導入には多大な費用が必要です。
しかし、SNSの活用や患者さんへの細かいサービスやイベントなどは、今すぐでも試せます。
できることから始めていき、必要なタイミングでシステムの入れ替えや導入などを検討していきましょう。